夏の島。

備忘録的な雑記と記録。

一口2世代目出資馬の紹介 メジロツボネの22(シルクHC)

 

紹介にあたってまずはじめに、自分がどのような視点で出資馬を選んでいるかについて説明する。自分が出資馬の選定を行う際には以下の3項目を重点的に見ている。

 

①血統、特に牝系の良さ

個人的に1番重点的に見てる点はこの項目。競馬の本質が血の競技である以上、どのような血統を重ねられてきたのかという部分は、決して無視ができない、競争馬を構成する根幹たるところである。

その中で特に牝系を重視する理由としては、ミトコンドリアDNAの存在が大きい。エネルギー代謝の働きを担うミトコンドリアDNAは、母性遺伝とされており、ウマもヒト同様に母馬からしか遺伝子しない。それを裏付けるように、ジャパン・スタッド・インターナショナルには下記のような記事もある。

www.jairs.jp

確かに思えば、ダイナカール牝系然り、キャサリンパー牝系然り、薔薇牝系然り…で、牝系という枠に囚われないのであれば、

◯ドーリムジャーニー・オルフェーヴル兄弟の母オリエンタルアート

ディープインパクトブラックタイド兄弟の母・ウインドインハーヘア

◯サートゥルナーリア・エピファネイアリオンディーズ兄弟の母・シーザリオ

◯ヴィプロス・ヴィルシーナシュヴァルグランの母・ハルーワスウィート

など、特定の馬、牝系から多くの重賞、G1馬が出ることは決して偶然の産物とは思えないからである。日本において年間約7500~7800頭のサラブレッドが生産されており、JRAで施行される格付け重賞が138レース。この数字の対比を観た時、その枠に収まる馬はほんの一粒しかいない。しかし、それでも特定の牝系から重賞馬が何頭も出ているのである。

また、一口データとしても母の競争成績や兄弟に活躍馬がいるといないでは数値として差が見られるという裏付けもある。

www.umadb.com

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馬体と歩様の状態に問題ないか

馬体と歩様についても重要な点として見ている。サラブレッドもまたアスリート故、身体の出来不出来の差は大切だと考えている。特に一口の場合は、故障して未出走引退となるのが1番最悪なので、オフセットニーとか明らかに問題がありそうな場合はパスをしている。正直、馬体については素人なのでそこまで深く言えるものではないが、全体のフレーム(骨格と筋肉の付き方)、後肢の足運びなどを重点的に見ている。

 

所属する厩舎のリーディング(=力のある厩舎かどうか)

 馬を育てるのは人であり、厩舎である。そう思うようになったきっかけは、DMMで1口1世代目が走り始めからで、(非出資馬も含め)ホースマン情報局を細目に読むようになった際に「やはり育成のノウハウがあるところとそうではないところでは結果の出方に差はあるんじゃないか」と思うようになった。

 特にそう思ったのは、出資馬のベランジェール担当である木村師の馬作り。木村師は巷ではやれノーザンのエサやり係だの、パワハラ調教師だの言われてたけど、現役世界最強馬イクイノックスをはじめ、ジオグリフやその他重賞馬を管理して結果を出しているし、ベランジェールに対しても、課題を洗い出しながら目先の内容に囚われずに解決しようと向き合っている様は本当に素晴らしいなと感じた。やはり、そう感じさせてくれる調教師とそうではない調教師とでは差は出て当然だと思うし、正直更新を読んでて「大丈夫かな…この調教師」って思う人はいる。

 じゃあそうなると、どこでを見て判断を下しているのか。個人的は「リーディング順位」と「直近の管理馬の活躍具合」を見ている。リーディング順位は数字として客観的な指標であるし、「直近の活躍馬」って部分も、キチンと馬をかたちにしてレースに送り出せている証拠になりうる。

 勿論、成績にもその時の波はあるし、馬質の差はあるので、一様にすべてが正しいとは言えない。ただ、開業年数がある程度経って育成のサイクルやノウハウが蓄積されているであろう中堅調教師が、重賞馬を送り込めずにリーディング下位(具体的には80~100位)に沈んでいたら、「それはどうなん?」って思うし、開業して新しい若手調教師に成績上で抜かれていたら、「大丈夫…?」と疑問に感じるところがある。

 一口馬主はあくまでファンドとして投資をする以上、その馬に関わる全ての人とは一蓮托生である。その中でも調教師の存在は特に大きいし、僕ら素人にとってその道のプロであるから信頼する以外の術はない。だからこそ、少しでも真摯に馬と向き合って結果を出している厩舎を選ぶことが重要ではないだろうか。

 

メジロツボネの22(シルク)

db.netkeiba.com

牝馬 鹿毛

父:ドゥラメンテ 母:メジロツボネ

募集総額5000万(一口:10万) 

厩舎:尾関知人美浦

 

シルク1世代目で唯一の1頭。抽優馬。まず、前提として、

・シルク入会初年度なので、実績は0

・掛けれる予算も15万程度が限界

→抽優が全てであり、玉砕覚悟で1頭1口入魂しかないという状況であった。最初の段階では、10頭程度候補は挙げており、ギエムの22やロッテンマイヤーの22が候補に挙がっていった。あとは中間票数の動きを見ながら絞り込みを行っており、その中でも最後の抽優候補としてはジョイカネラの22(父:Frankel)と迷い、最終的にこちらに投票した。

ちなみにジョイカネラの22に惚れた理由は以下のため。

・Frankel産駒が面白そうで、母はアルゼンチン3歳チャンピョンという良血だった

・馬体も見ごたえのある綺麗なデキで、全体的なフォルムが好印象だった。

・手塚厩舎だったから

あとは、中間票数を見ていても、そこまで伸びておらず、この仔なら抽優切れば確実の獲れそうと思った部分もあった。

しかし、最終的にメジロツボネの22への出資の決定打となったのは

 

メジロラモーヌ牝系であること

ドゥラメンテのラストクロップであること

③兄にG1馬がいること

④馬体が良く、ツアー見学者による評判もよかったため

⑤厩舎実績も充分

という部分が大きかったからである。

 

 一つ上の兄・ヘヴンズクライ(父:ハーツクライ)がDMMで昨年募集された際、12月末まで出資するか悩んだぐらいにこの牝系に魅力を感じており、史上初の牝馬三冠に連なる牝系と、それが持つ価値は青天井だと個人的には思っていた。現在、メジロラモーヌを牝系に持つ馬は(自分が把握している限り)メジロルバード―メジロツボネ・クラサーヴィヅァの2頭で、尚且つメジロ牧場の後身であるレイクヴィラファームで繫養されているのは本馬のみである。この点からも本当に貴重な血であることは言うまでもなく、事実、レイクヴィラのHPや募集カタログでも「本馬の使命は牝系の枝葉を広げること」と言われているほどで、その貴重さをうかがい知ることが出来る。

 また、メジロツボネそのもののポテンシャルにも可能性を感じた部分も大きい。特に初仔からG1香港ヴァーズ2勝を含む重賞4勝馬の半兄グローリーヴェイズを出した点はプラスに見るべきで、繁殖馬としてメジロツボネが持つ確かなポテンシャルは再び大物を出してもおかしくないと感じた。

 そして、牝系のみならず、父がドゥラメンテであるという点も出資には大きなポイントであった。募集時(23年の7月段階)でG1・3勝タイトルホルダー、22年牝馬二冠のスターズオンアース、2歳G1勝ちで23年牝馬二冠(後に三冠)のリバティアイランド、NHKマイル勝ち馬のシャンパンカラーが出ており、ドゥラメンテが大ブレークしている時期だった。ドゥラメンテ自体は母:アドマイヤグルーヴ―祖母:エアグルーヴ―曾祖母:ダイナカールに連なる超良血牝系の出身で、父もまたロードカナロア―祖父:kingmanという、まさに良血 of 良血のオンパレード。ここにメジロラモーヌに連なる牝系とのカップリングともなれば言わずもがなで、さらにドゥラメンテの仔はもう二度と出資することが叶わない。ともすれば

「これから僕の一口人生はずっと続くと思うが、この馬ほど希少な血に出す機会はもう二度と無いだろう」

と、直感的に感じたのである。

 

 厩舎についも、尾関師が兄を手掛けた点や出資後にスルーセブンシーズやドゥレッツァなどを輩出している点から問題なし判断。ちなみに、シルクのツアーで「オークスに連れていきたい」と言っていたようで、本馬に対する期待の高さを窺わせている。

 

 馬体については、全体のメリハリが効いており、牝馬にしてはフレームの良さを感じさせた点が良かった。募集段階では、まだ水っぽさは抜けていなかったけど、成長してグンと良くなるイメージがつきやすかったため、問題なしと判断。

 歩様についても後肢球節のブレはあったので、まだ緩いかなと感じたけど、一方で足さばきは悪くはなく、ナチュラルスピードも「まぁ問題ないかな」という点で◯。ツアー見学者の評価も良かった点も◎。

 

最後に

シルク入会初年度だったので、自分なりに色々と吟味した結果、メジロツボネの22に出資できたことは本当に嬉しく思う。なんなら1番欲しい馬だったし、納得のいく結果だ。

 競馬はブラッド・スポーツである。自分はそうした『血の積み重ね』こそ競馬の本質であり、面白さがあるのではないかと感じており、本馬にはその先を見てみたいと思えるだけのモノを感じた。先述したとおり、この仔の役目は、いずれ牧場に戻ってその枝葉を広げることである。いずれこの仔が牧場に戻り、その子供がクラブに来る機会が有ったら出資したいなと思う。